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WCS用稲2022年09月11日

昨日の話ですが

ウオーキングで見かけた

田んぼの風景

どこか違う気がしました。

よく見たら

米でなく

飼料米でした。

ふつうの水田。


●WCS用稲とは

 WCS用稲(発酵粗飼料用稲)は、

水稲の地上部全体(茎葉と穂)を

株元から刈り取り、

混合してロール状にした後、

フィルムで包み込んで(ラッピング)、

嫌気状態で発酵させたものです。

これらは乳牛や肉用牛の飼料として

使用されますが、畜産農家にとって、

輸入飼料価格が高騰する中、

比較的安価で確保できるとともに、

安全・安心な国産飼料となるために

引き合いが大きくなっています。

 水田としての機能を維持したまま

転作できる品目は貴重で、

水稲栽培のための機械・施設がそのまま

使用できるのは大きなメリットです。

収穫後の作業が主食用米より簡易で

(乾燥、籾すりなどがないこと)、

直播栽培などのより簡易な栽培法の

検討も可能です。

 また、水田で生産したWCS用稲を

飼料として牛に給与し、

その牛の排せつ物から生産した牛ふん堆肥を

水田に還元することで、

環境に優しい資源循環型農業が

構築されます。

 そして、これまで畜産農家が輸入飼料を

購入することで地域外に流出していた

購入費用が地域内に留まるようになり、

地域内経済への貢献になります。

なぜ、水田で家畜の餌を作るのかと

疑問に思われる方もいるかと思います。

飼料の自給率を向上し、

畜産物の安定供給を図るため、

日本の環境や国土を守っている水田を

減らさないようにするため、

国では飼料用米等への転換を

推進しています。

農家にとっては、

主食用米の需要が減少を続けるなか、

水田活用の直接支払交付金を活用すれば、

主食用米と遜色ない所得の確保も

可能なので飼料用米へ転換するところが

増えているそうです。

 

 家畜の餌には、とうもろこしなどの穀物を原料とする「濃厚飼料」と、

干し草や稲わらなどを原料とする

「粗飼料」がありますが、

濃厚飼料が特に輸入に頼っており、

海外穀物の価格や為替の影響を受けやすく、飼料の自給率向上が必要となっています。

水田で栽培する飼料用の稲や米には、

用途別に、

①粗飼料として、くきや葉を利用する

 飼料用稲(青刈り稲)、

②完熟前の穂、くきや葉を利用する飼料用稲(稲発酵粗飼料=稲WCS)、

濃厚飼料として、実ったもみを使う

 「飼料用米」にわけられます。

青刈り稲や稲WCSには、

くきや葉が大きくなる専用品種が

使われますが、

飼料用米では収穫量の多い専用品種のほか、主食用品種のうち、

収穫量が比較的多い品種も使われています。作付面積が急増しているのは

「飼料用米」です。

 

 日本では、年々お米の消費量が

減っています。

この50年間で半分以下にまで

減ってしまいました。

お米の減少率は、

今後も続き、

消費量に合わせて

お米の作付面積をへらす

ことが必要となります。

このままでは15年後には

東海、近畿、中国地方を

合計した作付面積に匹敵する

30万ヘクタールも減らす必要が出てきます。水田の機能はお米を作るだけではなく、

「空気清浄」「温暖化防止」

「水資源の確保」「洪水や地すべり防止」

など日本の環境や国土を守る

役割も持ち合わせています。

水田を減らすことは、

目に見えないけれども

私達を守ってくれる機能を

失うことにもなり、

影響は農業だけに

とどまらなくなってしまうのです。

減少する主食用米に代わり、

水田を用いて飼料用の稲や

米を作付けすることで、

これらの機能を維持することができます。

また、

飼料自給率の向上と畜産物の安定供給も

可能になります。

 

 最近では飼料用米で育てた

ことなどをアピールした

肉類や卵が売られていて、

お店やインターネットでも

買えるようになりました。

飼料用米を、餌に混ぜた豚肉は、

オレイン酸が増え、

旨味など美味しさが増すことが

わかってきています。

食べた人の感想も

「かみごたえがありおいしい」と

好評です。

また、

にわとりでは、

飼料用米の割合を高めると、

卵の黄身の色がレモンイエローに

なるほか、生臭さが消え、

さっぱりした味になることが

わかってきています。

日本の環境保護、

国土保全だけではなく、

畜産物を安定して食べることが

できるようにするためにも、

飼料用の稲や米などを使った
畜産物の生産を増やすことが
大切となっています。
農業の事心配しています。